ダッシュボードを作りたいという依頼は、たいてい画面のデザイン案から始まります。ところが、数字が何を意味するのかを合意しないまま作ると、画面が完成したあとも、会議のたびに数字の基準を問い直すことになります。誰がどのような判断に使うのか、指標をどう計算するのかを先に決めておけば、あとは画面をその判断に必要な順序で構成すればよくなります。

01. ダッシュボードで下す判断から決めます
「毎週の会議で、どの店舗に人員を増やすかを決める」「月末に、地域ごとの目標を達成したかを確認する」のように、ダッシュボードを見て下す判断を文章で書き出します。判断が決まれば、必要な指標と見る頻度、比較の基準も絞り込まれます。
見る人によって、必要な詳しさも異なります。経営層が見る概要、運営責任者が毎日確認する状況、実務の担当者が原因を探る詳細画面を分ければ、ひとつの画面にすべての数字を詰め込まずに済みます。
整理する項目
- ダッシュボードを見て下す判断
- 見る人と見る頻度
- 比較する基準(目標・過去の期間・ほかの地域や組織)
02. 指標の定義を文章にします
同じ「売り上げ」でも、キャンセルや返品を除くのか、注文日と決済日のどちらを基準にするのかによって、数字は変わります。指標ごとに計算方法、基準日、除外条件を一文で書き、担当部署と確認します。
ほかの報告書ですでに使っている指標であれば、その定義と合っているかを先に照らし合わせます。定義が食い違う場合はどちらを基準にするかを決め、画面に定義を表示する方法もあわせて検討します。
整理する項目
- 指標の名前と計算方法
- 基準日と除外条件
- 定義を確認する担当部署
03. データソースと更新頻度を確認します
指標ごとに、どのシステムのどのデータで計算するのか、Excelや手作業で集める資料が混ざっていないかを確認します。データソースが複数ある場合は、同じ対象を指すコードや名称が互いに一致しているかも確かめます。
すぐに確認すべき指標と、日単位や週単位で見れば十分な指標を分けます。更新頻度と最終更新時刻を画面に表示しておけば、数字がいつの時点のものかを問われることが少なくなります。
04. 問いの順番に画面を配置します
ユーザーはたいてい「今は問題ないか」「どこが違うか」「なぜそうなっているか」の順に問いかけます。上部に判断に必要な主要指標と比較の基準を、中央に地域別・期間別の比較を、下部に詳細な一覧を置けば、問いの順番と画面の流れが一致します。
グラフの種類よりも、比較が見やすいかどうかが大切です。色は状態を区別するためだけに使い、色だけに頼らないよう文言や記号を添え、数字には単位と基準期間を記します。詳細画面では元の一覧までたどって、数字の根拠を確認できるようにします。
整理する項目
- 上部:主要指標と比較の基準
- 中央:地域別・期間別の比較
- 下部:詳細な一覧と元データ
05. 使わない指標は整理します
運用を始めると、要望に応じて指標が増え続けがちです。実際に判断に使われている指標かを定期的に確認し、長く見られていない指標は詳細画面に移すか整理します。
指標の定義を変えるときは、変更した日付と理由を記録し、ユーザーに知らせます。定義が変わった時点の前後の数字をそのまま比べると、判断を誤るおそれがあるためです。
ご相談の前には、これだけご準備いただければ十分です。
以下の内容を整理しておくと、初期の打ち合わせで範囲をより早くすり合わせられます。すべてそろっていなくても、現在の状況からご相談いただけます。
- ダッシュボードを見て下す判断とユーザー
- 指標ごとの計算方法・基準日・除外条件
- データソースと更新頻度
- 概要・状況・詳細画面の区分
- 指標定義の変更記録と整理の周期
KPSプロジェクトガイド · 具体的な技術構成と適用条件は、要件によって異なります。




